恋愛について

【恋愛と精神分析】
恋愛は性格や相互理解、信頼関係、言語的および非言語的なコミュニケーションなどが重要だけでなく、無意識的な願望や深層心理も関係しているとされています。また、人を好きになったり嫌いになったりする際、見た目や顔の表情などの視覚的情報、発言内容や話し方などの聴覚的情報、プロフィールや職種・職位などの概念的情報など様々な入力チャンネルがあり、そのバランスは人それぞれです。そのような個人特有の認知特性が人を好きになったり嫌いになったりする際、大きな影響を及ぼしているのです。また、恋愛には失恋がつきもので、失恋の苦しみは通常の悲嘆にとどまらず、対象喪失(自分の一部や大事な目標を失ったかのような心理状況)を引き起こす場合があります。また失恋や恋愛には、正常な現実認識だけでなく、否認、理想化、合理化、逃避、解離、抑圧など、未熟な防衛機制が認められることが多いものです。一般に人が恋愛をしている状況下では、無意識や深層心理が顕在化しがちです。人格水準も子供がえりした状態になり、その結果本来の社会性を失い、攻撃性や支配性、過度な依存などが露呈してしまうことも少なくありません。

【恋愛における法的問題】
恋愛が成就し、結婚に向けて話が進むと、国際結婚、同性との結婚、などの場面で法的に解決しなければならない問題が生じることがあります。日本では、同性との結婚が認められていませんが、最近は、同性のパートナーに法的な地位を与える自治体があります。同性との結婚の代わりに、同性のパートナーの方と養子縁組をする方もいらっしゃいます。
他方、一度恋愛が成就したものの、様々な理由(不貞行為、DV行為…)により、交際関係が解消されることがあります。その場合には、民事・刑事上様々な法的問題が生じることがあります。不当な婚約破棄を理由とする慰謝料の請求、結婚詐欺を理由とする慰謝料の請求に発展することがあります。昨今は、リベンジポルノの問題や、ストーカー行為についての問題に悩む方も多くいらっしゃいます。
時には、堕胎、子の認知、養育費等の支払の問題で交際相手との間でトラブルとなることもあります。
これら、様々な場面で法的な問題が生じます。場面によっては警察が介入し刑事事件として捜査・立件されることもありますが、他方で、多くの場合には、当事者間のトラブル、もしくは民事上の紛争にとどまり、問題がうやむやに終わることが多いといえます。また、相手への好意や恋愛感情により、相手の不当な行為が長期間許容され続けるケースがあり、第三者の介入を拒むケースもあります。そのような場合、警察の介入や訴訟などの法律に沿った対応はなされず、一方的に被害を受け損失を被る場合も少なくありません。

【恋愛に関する問題についての対応や相談機関】
DVについてはカップルセラピーや個人単位のカウンセリングが必要である場合があります。失恋に伴う喪失感やうつ状態については、自然に回復することも多いのですが、不眠や不安感が持続する場合は心療内科で診察を受けること望ましいでしょう。
また、不貞行為やDV行為がある場合、不当な婚約破棄・結婚詐欺などの被害を受けた場合には、どのような法的手段をとることができるか弁護士に相談するのが望ましいでしょう。
リベンジポルノの被害を受けている場合、あるいはこれから受けるおそれがある場合、ストーカー行為の被害を受けている場合などには、警察署などの公的機関に相談する方法があるほか、裁判所を通じた仮処分などの法的手段を採ることについて弁護士に相談するのも良いでしょう。DVから身を守るために、DVシェルターを活用する方法もあります。
子の認知や養育費の支払についての紛争を解決するためには、家庭裁判所に調停等の申立てをすることが考えられますが、申立ての準備のために弁護士に相談することが望ましいといえます。