介護疲れの中、何を検討すべきか?
【介護疲れによる悪循環】
介護者が大切な家族(要介護者)の意思や判断、生活の自由を尊重したいとい思うことは当然です。しかし、要介護者の判断力が低下した結果、高額な商品を購入してしまったり、貯金を騙しとられたりするケースも稀にあります。
そのような状況では、介護者の疲労感やストレスは高まり、その結果ケアの質も低下しがちとなります。ケアの質が低下すると、そのことが要介護者に伝わり、要介護者と介護者の関係が悪化するという悪循環が生じてしまうこともあります。
要介護者や介護者が、適切な医療の支援やカウンセリングを受けることにより、こうした悪循環を断ち切るきっかけを作ることができます。また、後見制度などの法的制度を利用することにより、介護者の負担が軽減され、悪循環を断ち切ることにつながります。
ここで重要なことは、要介護者の判断能力についてです。介護の観点だけでなく、法的な観点から要介護者にどのような制度が利用可能なのか、様々な角度からの検討が必要となります。
【見守りや介護の負担軽減に向けた支援】
当社では、ご高齢、ご病気など様々な理由から、介護を必要とする家族、判断力の低下した家族のいらっしゃる方からのご相談を受けています。
また、今は介護を必要としていないけれども、将来、自分や家族の判断力が低下してしまった場合に備えて、どのようなことができるかご検討されている方からのご相談を受けています。
要介護者、要介助者のいるご家族の中には、介護や介助の疲れから、自らが心身の不調に陥ってしまったり、原因の分からない体調の悪化に悩まされてしまう方がいます。そのような状況を放置してしまうと、そのご家族様がご病気になってしまう可能性が生じるばかりか、要介護者・要介助者のお世話にも支障が生じる可能性があります。
そのようなことを防ぐべく、当社では、介護を必要とする家族、判断力の低下した家族のいらっしゃる方、将来の介護への対策を検討中の方からのご相談を受けています。
【判断能力や状況に応じた対応】
後見人制度は大切なご家族の人権や財産を守っていく上で重要な制度です。
後見制度には、大きく分けて、①任意後見制度、②法定後見制度の二つの制度があります。
任意後見制度とは、本人の判断能力が衰える前に後見契約をおこない、判断能力が衰えた後に後見を開始する制度です。法定後見制度とは、判断能力が不十分な方に適用される制度で、判断能力の度合いに応じて、「後見」、「保佐」、「補助」の3つの類型に分けられています。法定後見制度を利用する場合には、申立人が家庭裁判所に法定後見の審判の申立てをおこない、家庭裁判所の審判が確定すると、後見が開始されます。
任意後見制度を利用した場合には、任意後見契約の内容を、本人と任意後見人との間で決めることができますし、任意後見人を誰にするか、将来どのように自分の財産を管理してもらいたいかを具体的に決めることができます。そのため、法定後見の場合と比べ、ご本人の意思を反映させることが可能です。
【後見制度を利用すべきかどうか】
後見制度を利用する場合には、裁判所への申立て手続のほか、判断能力に関する精神科医の診察が必要となりますが、当社では、そのような場合には、弁護士や医師についての情報提供を行っています。後見人制度を利用したいと思っているけれども、どの制度を利用すれば良いのか分からず悩まれている方も多くいらっしゃいます。また、後見人制度を利用したいと思っているものの、本人およびご家族から同意や協力が得られず、ご苦労なさっている方も多くいらっしゃいます。そのような方々には、弁護士や医師に関して情報提供をすると共に、効果的に後見人制度を利用する方法を提案いたします。当社は後見人制度を検討中の方に対して、対象者はもちろん対象者のご家族様のメンタルケアや生活の安定を目標とし、精神科医や弁護士と協働し、多角的に検討します。
【後見人制度とは】(以下、法務省のHPより抜粋 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html#a1)
認知症に、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。
【成年後見制度の概要】
①法定後見制度
「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており、判断能力の程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。法定後見制度においては、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が、本人の利益を考えながら,本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。
後見〜判断能力が欠けているのが通常の状態の方
補佐〜判断能力が著しく不十分な方
補助〜判断能力が不十分な方
②任意後見制度
本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人 (任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。そうすることで、本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が、任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもと本人を代理して契約などをすることによって、本人の意思にしたがった適切な保護・支援をすることが可能になります。
【任意後見制度のメリット】
法定後見制度は、面識や交流のない方が突然ご自身の財産について管理することになりかねません。自らの希望する弁護士ではない弁護士が専任され、医療行為に関する支出も自由にはいかなくなることも稀にあります。さらに、被後見人の出費は裁判所がチェックし、不必要な出費は制限されてしまうこともあります。その点、任意後見人制度の場合、信頼できるご家族や友人、弁護士、司法書士等と任意後見契約を締結し、将来に備えます。任意後見制度は、一定の費用が毎月発生しますが、自由度が高く本人の意思が反映されやすい制度といえるかもしれません。
【当社が目指すこと】
当社では、クライアント様の後見人制度導入だけが最終目標ではなく、中長期的な視点に立ちクライアント様及びそのご家族様の健康や利益に最大化できるよう、状況を詳しく把握した上で、全体を俯瞰しながら具体的にご助言させていただきます。