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コラム)自分の名司会者になる

コラム)自分の名司会者になる

上手な司会者が仕切る会は、驚くほどあっという間に終わるものです。優れた司会者は、決して参加者に時計を意識させません。「残りあと何分」などと現実を突きつけるアナウンスは避け、乾杯や拍手、ちょっとした歓談のきっかけといった手元の小さな役割を、自然に手渡してくれます。退屈する隙間をつくらないのです。さらに「ここでは誰もあなたを値踏みしない」という安心した空気をつくり、会場全体を無理のないリズムに乗せていく。その結果、誰もが自分を忘れ、気づけば会が終わっているのです。

この名司会者の知恵は、そのまま私たちの一日にも当てはまるのではないでしょうか。私たちは普段、自分自身に対してずいぶん口うるさい司会者になりがちです。「もっと効率よく進めなさい」「時間を無駄にしてはいけない」と自分を厳しく見張り、チラチラと時計を意識させては、自ら時間をねっとりと重たくしてしまいます。

もし一日の時間を心地よく早めたいのなら、自分専任の名司会者になってみるのがいいのかもしれません。まずは、自分に小さな役割を手渡してあげることです。一杯のコーヒーを淹れる、目の前の机を片付ける。手が動いていると、手持ち無沙汰な自意識はすっと薄れていきます。そして「うまくやらなくても大丈夫」と自分を値踏みする視線を外し、目の前のリズムにそっと乗せてあげるのです。

自分を監視するのをやめて、上手にもてなす司会者になれたとき、重たく感じていた時間は、あっという間に駆け抜ける心地よいものに変わっていくはずです。