Columnコラム

コラム)言葉は一瞬、心の景色を照らす

コラム)言葉は一瞬、心の景色を照らす

ストレスは、最初から「これが原因です」とわかりやすい形では現れてくれないように思います。なんとなく落ち着かない。胸の奥がざわつく。眠れない、集中できない。そんな漠然とした感覚から始まることが、私自身もよくあります。

脳にとって「正体がわからない」という状態はとても扱いづらく、何が問題なのかわからないからこそ、警戒だけがずっと続いてしまうそうです。理由のわからない不安が長引きやすいのは、そのせいなのかもしれません。だからこそ、いまの感覚を少しずつ言葉にしてみることには、ささやかな意味があると感じています。

「あの上司との関係がつらい」「締切に追われている」「将来のお金が心配だ」。
漠然とした不安に名前をつけてあげるだけでも、気持ちの糸が少しずつ解けていくことがあります。心理学などの研究でも感情を言葉にすることで緊張が和らぐと言われますが、自分の実感としても確かにそうだなと感じます。

ただ、名前をつけたからといって、それで問題がすぐに解決するわけではありませんよね。言葉にできたというのは、ようやくスタートラインに立てたということに過ぎないのだと思います。そこから何を変えられるのか、あるいは何を受け入れるしかないのかを、焦らずひとつずつ整理していくことが大切なのかなと思っています。

花火が夜空を照らすように、言葉は一瞬だけ心の景色を照らしてくれます。けれど、本当に私たちを支えてくれるのは、その光の華やかさではなく、花火が消えたあとに静かに始まる、小さな行動の積み重ねなのかもしれません。