コラム:94という数字
筆者にとって、ゴルフを始めて20年以上経つものの、100という数字はずっと大きな壁でした。これまでのベストスコアは104。そこから何度挑んでも、大崩れするホールが必ずどこかにありました。ところが昨日、94を出すことができました。
正直に言うと、スコアそのものより気になっているのは、この喜びの中身です。何に対して喜んでいるのか、自分でもすぐには言葉にできませんでした。考えてみると、ゴルフのスイングは要素がとても多いものです。グリップ、アドレス、テークバック、体重移動、インパクトの角度。練習ではそれぞれを個別に直してきました。どれも単体では小さな修正で、上達している実感すら薄いものです。
ところが昨日のラウンドでは、それらが別々のパーツのまま並んでいたのではなく、ひとつの動きとして機能していた瞬間が何度もありました。この「バラバラだったものが、気づけば一つにまとまっている」感覚こそが、あの喜びの正体だったのだと思います。
診察室では、この感覚を患者様に提供することが、実はとても難しいものです。不眠がよくなっても意欲が低下したり、活動量が増えても今度は食欲が低下したり。症状は部分的に良くなったり悪くなったりを繰り返し、変化はほとんどの場合、緩やかで、輪郭がはっきりしません。「全体が良くなっている」という実感を、本人が確信を持てる形で得られる瞬間は少ないのです。
ゴルフのスコアは、その点で残酷なほど正直です。104と94は、誰の目にも明らかに違います。言い訳のしようがない「数字」という証拠がそこにあります。だから昨日の94は、上手くなった証明である以上に、「積み重ねてきたものが、ある日ちゃんと形になる」ということが実際に起こるのだと、自分自身に対して確認できた出来事でした。
診察室で筆者が患者様に願っているのも、たぶん同じことです。今はバラバラに見える小さな変化が、いつか本人にもわかる形で一つにまとまる日が来る。そう信じて、日々の診療を続けています。
