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カウンセリングを受ける
〈カウンセリングの具体例〉

カウンセリングの流れをご説明します。以下は一例であり、実際のカウンセリングの進め方はこの流れに限定されるものではありません。

例1)夫婦カウンセリング

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1. 情報を整理する

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まず、ご夫婦が夫婦関係の改善を希望なさっている場合には、今後離婚調停や離婚裁判になった際に、カウンセリングでの発言を調停や裁判で利用しないことを相互に確認いたします。それによって、話しにくい内容でも気軽に話すことが可能になり、問題への深い理解につながります。次に、ご夫婦が結婚されてからの年数、結婚生活の経緯、お子様がいらっしゃる場合はそのご年齢や発育状況、同居家族の有無、生活環境、就労状況等の現在のご夫婦を取り巻く基本的な情報ことについて整理します。さらに、夫婦カウンセリングを希望した動機や理由、カウンセリングに期待していること等をご夫婦双方から詳細に聴取いたします。カウンセリングでは、ご夫婦がお互いに対してどのようなご不満を持たれているかを詳細に把握しつつ、夫婦双方の本音や率直なご意向についても理解してまいります。

2. 問題を解きほぐす

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夫婦カウンセリングにおいては、ご夫婦の間でカウンセリングへの動機や目的が異なることは珍しくなく、問題解決への方向性に関しても夫婦間で大きな差があることもしばしばです。そのような場合には、夫婦関係の状況や夫婦双方のご意向を踏まえ、検討するテーマを効果的に絞っていきます。例えば、奥様の方から「夫が話を聞いてくれないことに困っている」との訴えがあり、コミュニケーションのあり方に関する相違が問題の本質と考えられる場合には、以下の内容について詳細に検討します。

  • 各自の普段のコミュニケーションのあり方や傾向
  • 配偶者に求めるコミュニケーションのあり方
  • 夫婦双方の認知特性(相手の本音を言葉から理解するか、表情から理解するか、声のトーンから理解するか)
  • これまで最もコミュニケーションが円滑だった時期の状況
  • これまで最もコミュニケーションがうまくいかなかった時期の状況
  • コミュニケーションエラーを改善できた過去の成功体験
  • 夫婦間の理想の距離感
  • 夫婦双方がお互いに抱く期待感

これらの検討事項はあくまでも一例であり、実際のカウンセリングでの検討内容はケースバイケースです。また、必要があれば、コミュニケーションの傾向に関連した心理テストを実施したり、同居されているご家族にご参加いただき、夫婦関係に関する状況をお話しいただいたりすることもあります。このように、関連した情報を詳細に検討することで、徐々に問題の本質が解きほぐされていきます。

3. 対応策を検討する

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問題点が明確になってきた段階で、対応策や新たな考え方をご提案いたします。例えば、夫婦関係が悪化した原因として、「夫は普段から声のトーンに配慮せず、ビジネスライクに淡々とした口調で話す癖があった。夫は妻の話を聞いていたつもりだったけれど、妻としては夫に心のこもった口調での相槌を期待していたこと」が挙げられたとします。その場合、ご主人側に改善の余地が大きいと言えます。夫婦間のコミュニケーションに関する問題を改善するために、まずはご主人が情緒豊かに相槌をうつことを学習することを検討します。もし、ご主人にとって今更相槌の仕方を変えることは不自然だから自分の話し方を変えたくないと抵抗感をお感じになった場合には、ロールプレイをご提案します。そのロールプレイにおいて、ご主人には段階的な感情表出を変えていただき、奥様からその感情表出をどう受け止めたかを評価してもらいます。その結果、ご主人は、奥様がどの程度の感情表出を期待していたのかを理解できるようになります。継続して2回目以降の面談が実施された場合は、ご主人の改善行動が妻にどのような影響をもたらしたか振り返り、そこで問題点があれば更に改善策を検討します。

例2)パワハラに関するカウンセリング

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1. 情報を整理する

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まず、クライアントの性格、生育歴、学校での得意不得意、これまでのキャリア、今後希望する理想のキャリアや働き方、現在所属している組織の人間関係、現在の具体的な職務内容、過重労働の有無、健康診断結果の概要、既往歴やメンタル疾患の有無、家族や同僚からの支援状況、パワハラの詳細な実態、パワハラをした上司の性格や行動特性、パワハラに関する会社の対応等を率直にお話しいただきます。その際、パワハラが発生した当時の職場環境におけるクライアントの主観的なお気持ちや苦痛についても詳細に理解してまいります。

2. 問題を解きほぐす

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情報を整理した結果、例えば、「クライアント自身は真面目に勤務し、それなりの成果を出しているが、上司が部下であるクライアントの気持ちや意図を適切に理解できないこと」が問題の本質であったとします。その場合には、以下の内容について詳細に検討します。

  • 上司のコミュニケーションのあり方(大事なことをどのように伝える傾向があるか)
  • 上司及びクライアントの認知特性(相手の本音をどのように推測する傾向があるか)
  • 職場における当該上司の評判
  • クライアントの対人関係の傾向やパターン
  • クライアントの他者から自分自身へのネガティブな発言の受け止め方の傾向
  • クライアントの能力特性や注意力、集中力の程度

3. 対応策を検討する

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問題点として、「上司は心の本音を言葉ではなく態度や雰囲気で伝える傾向があるのに対して、クライアントは心の本音を言葉で伝えようとする傾向が強く、それによってコミュニケーションエラーが発生していたこと」が考えられたとします。そのような場合には、クライアントがメールや言葉などの言語で自分の思いを伝えようとしても、上司はクライアントの意図を適切に理解できない可能性があるため、クライアントは、態度や表情にも意識をしながら伝える必要があります。このような問題を改善するため、クライアントには、セラピストとのロールプレイを通して言葉だけでなく態度や表情にも意識して感情表出をするメリットを体験していただきます。それによって、問題の改善だけでなく、クライアントのコミュニケーション能力の向上も期待できます。また、上司との1:1での面談がクライアントを過度に萎縮させている場合は、面談の場に人事部や上司の上司に同席してもらうことや、産業医面談を受け、産業医から会社側に職場改善を勧告してもらうことなどをお勧めすることがあります。クライアントが既に労働基準監督署や法律事務所に相談なさっている場合は、その経過を見守りつつ、並行して行うことができる対応等についても検討いたします。

例3)大人の発達障害に関するご相談

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1. 情報を整理する

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まず、生育歴、幼稚園や学校への適応状況、友達や同級生との交流のあり方、家族との関係性、得意教科、苦手教科、苦手教科への対応、不注意、多動、こだわり、対人コミュニケーションの障害の有無、周囲との摩擦や孤立感の有無、主な援助者からの助言内容、家族背景、生活環境、現在の職場での適応状況、同僚や上司からのサポートの実態、今後の仕事上の課題や職場から改善を求められている内容、プライベートでの課題、心理テスト(知能テスト等)の結果、精神科・心療内科での治療歴、投薬内容、生活リズムや生活習慣等を整理します。

2. 問題を解きほぐす

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例えば、問題の原因として、「クライアントの悩みが職場において簡単なことでも一度の学習で覚えられず、その一因として作動記憶が乏しいこと」が考えられたとします(作動記憶とはその作業をする上で必要な記憶力のことをいいます)。その場合には、以下の内容について詳細に検討いたします。

  • メモを活用しているか。
  • 作業を適切な順番で処理できているか。
  • 作業場は整理整頓されているか。
  • 時間的余裕のある実現可能な計画をたてられているか。
  • 職場で覚えるべきことや覚えたことについて、復習や予習が十分になされているか。
  • ADHDの治療薬の適応はあるか。
  • 覚えながら処理する仕事以外の仕事を増やせないか。
  • これまで新しいことを学習するときに、どのような手段が有効だったか。
  • 職場に限らず、生活全般で集中を妨げる要因は何か。
  • どのような学習スタイルが有効か(見て覚える、聞いて覚える、書いて覚える、話して覚える、やってみて覚える)。
  • 作業に対して過剰なクオリティを求めたり、非現実的な理想を掲げたりしていないか。
  • 継次処理優位か、同時処理優位か。

3. 対応策を検討する

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例えば、問題点として「メモ帳は活用しているがメモ帳の数が多すぎてメモ帳全部を利用しきれていないこと」が挙げられたとします。その場合には、一つの課題に関して、複数冊のメモ帳ではなく1冊のメモ帳に限定して記録することにします。メモに記載される内容が多くなり、メモ用紙に書ききれなくなった場合には、メモに記載される内容を整理し、重複した記載内容は削除し、できるだけメモの内容を整理するよう努力します。そして、一つの課題が終わるまで、次の課題に対応しないよう意識します。それによって、全体の仕事の進捗が遅れることもあり得るため、こまめに上司に作業の進捗を報告し、適宜指示を受けることにします。実際の職場で、その改善策を1ヶ月程度継続します。2回目以降の面談では、職場において改善した点と改善しなかった点を整理し、さらに有効な解決策を検討します。