財津 康司
私は、医師として、自分自身が管理者として経営しているクリニックでクライアントのためになるカウンセリングを模索してきましたが、一人の医師として対応する中で同時に限界も感じるようになりました。クリニックの診療では、一人の医師が精神疾患を治療することに専念し医療行為を行いますが、その構造にこそ限界があるのかもしれません。クリニックには、精神疾患とは関係が乏しい多種多様なストレスを抱えて来院される方の方が多いのが実態であり、私は、そのようなクライアントに接するにつれて、「この診察室に医療関係以外の他職種の専門家が同時にいたら、クライアントが抱える問題の理解に役立つかもしれない」と感じるようになりました。
しかし、現実的にそれを医療の枠組みでは実現することは不可能であり、実際にはクライアントは、問題の解決のために様々な専門家を探し出し、個別に相談せざるをえません。また、クライアントにとっては、その各専門家との相談結果をクライアント自身が咀嚼し、問題を俯瞰的に理解することがストレス解消上とても大切なのですが、実際にはそれは大変難しいことと言えます。Stress Laboでは、そのようなプロセスの煩雑さや問題理解の困難さを解消すべく、多職種による同時対応を重視しております。また、Stress Laboでは、多職種による対応のみならず、現代社会に最適化されたカウンセリングを実施すべく、以下の3点を重視しています。
1. 傾聴から積極的関与へ
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現代においては、ネット上に様々な情報が溢れ、スマートフォンやSNSも普及し、悩みがあっても一人で悩まず、インターネットで検索したり、SNSを通して、気軽に他者と意見交換したり、専門家の意見を参考にすることもできるようになりました。それによって、人々はかつてと比べると遥かに簡便に専門的な情報を取得できるようになりました。そのような情報交換や情報の取得が容易な時代背景において、個人の葛藤や不安は心の奥底に抑圧されることが少なくなり、インターネットを駆使し自己流に具体的な解決策を模索しようとする方が増えてきました。それを反映してか、カウンセリング現場では、抑圧が主な原因とされる神経症を対象とした傾聴主体の伝統的なカウンセリンに対して、治療効果が発現するまでに時間がかかる上に、「具体的なアドバイスや有効な助言がなかった。」と不満を持たれるクライアントが非常に増えています。このような背景のもと、これからは、カウンセラーがクライアントの話を傾聴し共感するだけの傍観的な立ち位置から一歩踏み出し、クライアントの立場を積極的に想像し、クライアントが抱える現実問題の理解や解決にクライアントと共に取り組んでいくことが重要と考えています。
2. 問題解決と心の癒しを同時に考える
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Stress Laboは、解決策を提示し、問題解決を実現することを目的としたコンサルティング企業とは異なります。Stress Laboでのカウンセリングは、クライアントの問題解決に寄り添うことを重視しており、必ずしも問題解決を目的とするものではありません。なぜなら、問題解決が必ずしも心の問題の根本的な解決につながるとも限りませんし、長期的に見ると、問題解決よりも心理的なサポートを優先することがクライアントにとっての利益の最大化につながることもありえるからです。そこで、大事なことは問題全体を俯瞰し、問題解決と心の問題にバランスよく対応するための視点や手法を獲得することなのです。
3. 問題理解に基づく心理的サポート
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Stress Laboのカウンセリングは、問題全体を知的に概観しつつ、問題の本質を理解することで得られる喜びや安心を最も重視します。なぜなら、仮に即効性のある解決策が見出せなくとも、解決策を検討するプロセスの質が高ければ、クライアントの心の傷はある程度癒されるのに対して、性急な解決策はかえって心の安息を妨げることにもなりかねないからです。そこでStress Laboでは、クライアントが幅広い観点から問題を俯瞰できるよう温かく支援し、同時に、主体的に心豊かな生活を取り戻すことができるよう心理的な支援を尽くしてまいります。
Stress Laboは、ストレスへの対処で最も重要とされる問題発生の初期段階から、最良の視点と最良の心理的サポートを提供することをお約束いたします。
微力ながら、皆様の心の安息と現実的な問題解決に向けて尽くしてまいりますので、ご支援の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
※VPI職業興味検査
●略歴
大分県生まれ。2001年 大分大学医学部卒業、帝京大学医学部附属病院精神神経科で研修医。精神病院や心療内科クリニックでの勤務を経て、2017年 広尾ストレスクリニック開院。嘱託産業医としてもおよそ30社に勤務。2018年から2022年まで帝京大学文学部心理学科 非常勤講師(高齢者心理学、産業・組織心理学担当)。クリニックでの診療の傍ら、医療の枠を超えた柔軟なヘルスケアサービスをめざし2017年 株式会社frioを設立。2019年8月 株式会社frio広尾オフィス内に「Stress Labo 広尾」を開設。2020年3月 相続対策・終活サポート相談所の嘱託医に就任。
〈資格・所属団体〉
日本精神神経学会専門医
臨床心理士
精神保健指定医
日本医師会認定産業医
日本精神神経学会、日本心理臨床学会、日本ADHD学会、産業・組織心理学会、日本精神科産業医協会
〈著書〉
標準公認心理師養成テキスト(文光堂,2022,共著)
職場でのカウンセリングー心理職のための手引き(岩崎学術出版社,2024,編著)
冲永 昌悟
現代社会の変化は目覚ましいものがあり、特に新型コロナ感染症の拡大により職場は大きく様変わりしました。リモートワークの拡充、感染対策を意識した職場環境の改善、コロナ新時代を意識した事業転換は、全業種で大きく推進され、働く環境や方向性も変わってきました。また、働く方のマインドも昭和から平成を経て令和となり、世代間ギャップが問題となっており、部下と上司のコミュニケーションに悩む方が近年急増しています。特に、ハラスメントやメンタルヘルスに関連する労災の防止は、企業にとって喫緊の課題となっています。当Laboでは、そのような時代の変化を直視しつつ、時代を先取りしたヘルスケアサービスを開発し、社会に広く展開して参りたいと考えています。
※VPI職業興味検査
●略歴
慶応義塾幼稚舎・慶應義塾普通部・慶應義塾高等学校を経て、慶応義塾大学法学部政治学科に入学。大学では池井優ゼミに在籍し昭和の政治史を専攻。大学時代、世界30カ国で放浪の旅をする。大学卒業後、1997年日本興業銀行に入行。その後、銀行で営業や経理を担当しながら、金融機関や民間企業の債務整理に奔走。その後、医師の道を目指し、帝京大学医学部に進む。大学を卒業後、国立国際医療研究センター、亀田総合病院、国家公務員共済三宿病院、広尾ストレスクリニックなどで勤務。眼科、内科、形成外科、皮膚科、心療内科の臨床に従事する。2020年4月より2020 オリンピック・パラリンピック組織委員会の専属産業医を務める。2021年1月一般社団法人産業医学みらいLaboを設立。現在は産業医と皮膚科臨床、カウンセリングをメインに、健康経営の普及と顧問医活動の拡充を目指し、幅広い分野で活躍している。
〈資格・所属団体〉
皮膚科専門医
医学博士
日本医師会認定産業医
日本皮膚科学会、日本乾癬学会、日本抗加齢医学会、日本産業衛生学会
五十嵐 沙織
弁護士が関与する紛争解決の方法は訴訟に限定されるものではなく、訴訟とは、紛争解決のひとつの方法にすぎません。実際に、多くの民事紛争は、訴訟に至ることなく、当事者間の交渉等によって解決されており、訴訟に発展した場合でも、半数以上の事案が和解や訴えの取り下げなど当事者間の話合いによって終結しています。それにもかかわらず、弁護士に依頼をする=訴訟というイメージが一般的になっているために、弁護士に依頼するのは最後の手段という認識を持たれる方が多いのも事実だと思います。しかし、当事者間の関係が修復できないほどに悪化してしまっては、話合いによる解決の可能性は低くなってしまいます。そのため、問題が発生した場合には、より早期に対応方法を検討することが問題解決のために重要と言えます。また、訴訟による紛争解決は金銭救済が中心であり、法律の枠内での紛争解決は必ずしも当事者が望む問題の解決に直結するものではありません。
私は、問題の解決のためには、クライアントの話を傾聴し、問題の本質を理解したうえで、納得できる選択をすることをサポートすることが重要であると考えております。Stress Laboのコラボ面談では、法律の枠を越え、領域横断的に問題解決のための検討をすることが可能ですので、是非ご活用いただければと存じます。微力ながら、専門的な知見を活用し、問題解決をサポートしてまいる所存ですので、よろしくお願い申し上げます。
※VPI職業興味検査
●略歴
2011年中央大学法科大学院修了、2013年弁護士登録。第一東京弁護士会所属。
大学では野村修也教授の会社法ゼミに在籍し、大学院では、医療分野に関心を持ち、研究論文を執筆する。(『医師の説明義務と裁量的判断』(2010年))
弁護士登録後は、使用者側の労働問題を専門的に扱う法律事務所での勤務を経た後、法律の枠を越えて経営者の意思決定を支援したいとの想いから、株式会社野村総合研究所において経営コンサルタントに転身。その後、2018年からfreee株式会社の企業内弁護士として勤務を開始し、同社の東証マザーズ上場にも貢献。
2021年4月からは、THECOO株式会社(2021年12月東証マザーズ上場)の社外監査役に就任するとともに、広尾有栖川法律事務所を開設し、クリニックの顧問業務のほか、労働問題、離婚問題などの各種法律相談、ホームページの監修、鑑定書や意見書の作成指導等も多数受託している。最近では、法律問題を抱えるクライアントに対する傾聴やメンタルケアの必要性を実感し、Stress Labo 広尾でのカウンセリング研修(合計50時間)を修了するとともに、2022年にJADP認定メンタル心理カウンセラーの資格も取得するなど、傾聴を重視した法律相談に注力している。